鍋といえば、シメの楽しみが欠かせない。
食す過程で、きりたんぽ=ご飯を召し上がっていただいているきりたんぽ鍋ですが、
他の鍋と同じく「くずきり・きしめん・おもち・雑炊」などの「お後」がある。
「よし、仕上げにきりたんぽを追加。」という場合もありますが、多くのお客様がお好みで「きしめん」か「ご飯とたまご」を注文される。
「どちらがおすすめか!?」
地鶏・根菜をはじめとする野菜・あぶらあげ....の濃厚なおしょうゆ味のスープです。
イメージしていただいて...。「それはお客様のお好みです。」とお答えします。
某常連様はこの答えに「それじゃあ、まずきしめんね。その後に、おじやにしようカナ。」
ひと鍋で二度美味しい!!
お客様から頂戴した妙案に、迷う方にはこのパターンをオススメしている。
また、きりたんぽが寄せ鍋やふぐちり鍋の「お後」としてリクエストされることもある。
常連様のお話を一つ。
秋田出身のS氏は店の始まりと同時にみえ、夏でも熱燗。
つまみのお通しでちびちびと。大のきりたんぽ鍋好きで最後のスープはおもち帰り。翌朝雑炊を楽しむのだとか。
ある日、「ねえ、比内鶏って知ってる? 僕が鶏を買ってくるから、それでこの鍋作ってくれる? もっと美味しくなるよきっと。」
ご存知かもしれませんが、比内鶏は比内地方(秋田県大館を中心にした地域)原産のニワトリの一種で天然記念物。
比内固有の地鶏に他の品種をかけあわせて作出した食用鶏とされ、西の名古屋コーチンとその魅力を二分しているしろもの。
さて、言い出しっぺのS氏、都内でも入手困難のこの鶏を都心のデパートでようやく入手。
ご機嫌で来店され、「比内地鶏のきりたんぽ鍋」が実現しました。さっぱりと品よくコクのある油と味のある肉質。言うことなくとっても美味!!
こうして実現した「山びこ」きりたんぽ鍋プロジェクト……だったのだが、比内鶏の入手ルートを確保できても生産量と価格が問題。
いくら「高くてもいい。比内鶏食べたい。」とおっしゃられても、コンスタントにお客さまに呈せなければ商品とはいえない。
「いまの地鶏のままで十分美味しいよ。砂町で商売しているんだから、無理しないでこの味守りなさいよ。」とはある鳥屋のご主人の弁。
「はい、無理なく皆さまにおいしいものを召し上がっていただきます。」